Review 序―復讐の章―
「飛鳥?」
「え?なに?」
「いや、ぼーっとしてたからさ。おでこだして」
「ん。…ひゃっ」
前髪を上げると、ひんやりとした冷たさが伝わる
その冷たさに思わず声が出た
そんなあたしに微笑みかけた海司は、やはり、目の奥は笑ってはいなかった
自然に張り付いた笑み
「…笑わなくて、いいよ。あと湿布、ありがとう」
「…うん」
「飛鳥今“ひゃっ”って言った?」
「…」
ポンポンと優しく海司の頭を叩く
分かるよ、その気持ち
なかなか治らないよね
それが普通だったから尚更
眉を下げて泣きそうに笑う海司と共に、真夏をスルーした
そしたら
「飛鳥かっわいー!!」
なんていいながら真夏がまた飛び付いてきた
今度こそ、受け止めて
そしたら「飛鳥ー」なんていいながら、真夏が抱き締めてくる
――…懐かしい温もりに、あたしの記憶はそこで途切れた