本当の私は甘いかも。



「どういうつもりで…」



バンッ



言いかけた言葉は突然耳元で鳴った大きな音に驚いて飲み込み、目を大きく見開く。



えっえっ!?えぇ?ちょっと…!!これって…っっ



耳元には大和の腕が伸びていて、私の背中はピッタリと壁に張り付いている。


逃げ場が無い!しかも、顔っ…顔が近い…!



至近距離で真っ直ぐに見つめられていると、無意識のうちに顔が熱くなる。



「あの……」



「ん?」



「この体勢は?」



「あぁ。これなら逃げられないだろ?」


いや逃がして下さいっっ。



こ、こ、こ、こんな見られてたら…有理お嬢様を演じられないよ。



私は咄嗟に目をぎゅっと強く瞑っていた。


落ち着け、落ち着け!



何度唱えても顔の熱は引かないし、胸のドキドキも止まらない。



真っ暗闇な視界の中大和が不適にふっと、笑ったように感じた。



「……お前」



私が瞼を開いたのと、大和が口を開いたのはほぼ同時だった。


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