本当の私は甘いかも。
松坂屋!私松坂屋のパン大好きなんだよねー。
おっ?じゃあ松坂屋が主催なら美味しい料理を食べるチャンス!?
「あったあった。これだ」
社長が顔を上げるより早く西条さんは私から離れた。
社長が机から少しクシャクシャの紙を取り出し私に手渡した。
それには招待状 北川様と書いてある。
「ただの顔合わせみたいなものだが、行かないわけにもいかないから、有理も一緒に行こうなー」
“了解”と言って下さい。
「了解」
「よし、じゃあ明後日午後6時からだからな。忘れるなよ?」
“パパと違うから大丈夫”と言って退室して下さい。
社長完全に有理お嬢様にもてあそばれてる…。
「パパと違うから大丈夫」
私はそう言ってから、クルリと方向転換し扉の方へと歩き出す。
「それでは私も失礼致します」
その後を西条さんが3歩遅れて続く。
「大和君も来るから楽しみにしててな~」
「無視して退室して下さい」
西条さんが後ろから囁き私はその通りに無視して、さっさと部屋を後にした。
元有理お嬢様の部屋でこれからは私の部屋になる場所まで戻って来てやっと肩の力が抜けた。
白を基調にした広い部屋は清潔感に溢れ、とても落ち着いた。
私はへなへなとソファーに腰掛ける。
「お疲れ様でございました。有理お嬢様そのものでしたよ」
「西条さんのカンペのおかげです。有理お嬢様って結構毒舌なんですね」
「いえいえ、あのような態度は一郎様と私などの一部にしか取りませんよ。他の方々には立派なお嬢様を演じていらっしゃいます」
へー演技派かぁ。でも私もそれを真似するんだからもっと演技派じゃないといけないじゃん。
大変そうだな…。
いつの間にかため息が私の口からこぼれていた。
「立花様、これぐらいで疲れてしまわれたら後に続きませんよ。明後日はパーティーなんですから」
西条さんは優しい顔をしながら、厳しい口調で告げる。
「そっかパーティーか。あっそういえば、社長が最後に言っていた大和(やまと)君って誰ですか?」