緋~隠された恋情
「あらら、またややこしい人が来ちゃったわね。」


真央さんが目尻を下げて私の前にカクテルを置く。


「彼女はこの近くの会社で企画課で働いてるんだけど、

 2年前だったかな?


 この商店街を使ってイベントやったのよ。


 その時の責任者だったんだけど、

 結構成功してね。


 寂れていた商店街に活気が戻ってね、

 まあ、今も存続しているのもあの時のおかげなんてていう人もいて、

 ある意味伝説の人ね。」


「伝説…」


「見たことない?結構当時の写真かけてる店もあるんだけど。」


「ああ」


どこかで見たことがあると思ったら、

そうか写真。


確か印象的な綺麗なオトコの人と並んで写っていた…


「もう一つ伝説があってね、

 我が町のプリンス、仲野新を振った人。」


「新くんに珍しく猛アタックかけてたんだけど、

 ことごとく玉砕。


 いや、あれはちょっと面白かった。」


「お兄ちゃんが?」


「信じられないでしょう?あのOLキラーが特定の人にこだわるとか。」


「…はい」


「そんな顔しなくても大丈夫。彼女は確か婚約してるはず。」


「婚約?」


「アメリカにいる人、デザイナーでね。


 新くんなんて比べ物にならないほどインパクトの強い人。


 相手が悪かった。」



「写真に映ってた?」


「そうそう。」



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