緋~隠された恋情
お兄ちゃんに彼女がいたことだってあった。


ソフトなイケメンのお兄ちゃん。


いい寄ってくる人はたくさんいた。


でも、

自分から好きになってアタックするなんて、

そんなことしたことなんてなかった。



2年前、私が大学に行ってた間のできごと。


私の知らないお兄ちゃん。

あの頃は、平からも、

お兄ちゃんから逃げていた私。


そうだよね。

その間も、

お兄ちゃんはコロッケだけを作っているってわけではなく、

生活をしていたんだもの、心だって動く。



目の前の事象が全てではない、

私がすべての中心ではないのだ。


こんなことでいちいち心を揺らして、

動揺するなんておかしい。


なのにキュウキュウと締め付ける心臓は苦しくて、

今も頬を紅潮させて彼女と話すお兄ちゃんを見て

ビリビリと体中を嫉妬の電気が私を包む。





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