緋~隠された恋情
公園の先が崖になってるって思い出した。

死んでしまったらきっと楽になる。

目をつぶって走り抜けたら、

そしたら…


一瞬ふわっと体が軽くなって、

自分が宙に舞った感覚



ああ、もういいんだね

楽になれる







ガシッ





私の腕をつかむのは誰?


「ありさ!手離すなよ!」


「お兄ちゃん!」

お兄ちゃんの腕に捕まれぶらんと重力を受け崖の淵に垂れ下がる私の体


「何やってんだよ!今引っ張りあげるから!」


近くの街頭は、後ろからお兄ちゃんを照らし影を作る

私の腕をつかみ引っ張りあげようとするお兄ちゃんの顔は、

はっきりしなくても、

少し苦しそうに歪んでいるのは判る。



「ダメだよお兄ちゃん。腕治ってないのに、

 手離して!」


「できるかよ馬鹿!」


「馬鹿だもん


 私なんて

 汚い

 こんなことする価値ない。

 私


ずっとずっと


お兄ちゃんを騙してたんだよ


アイツに

抱かれてるんだよ

何度もだよ。


好きでもないのに

汚いんだよ私


消えちゃっていいんだから。」




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