緋~隠された恋情
再び気がついたのは真っ白な空間。

病院のベッドの上だった。

あれ?

これいつかあったよね。

ああ、馬鹿だな私、

ついこの間のことじゃない。


「ありさ」



そこにいたのは、

私を傷つけ続ける男


「あ、植木先生……」

「死にぞこない……」

「!

 ひど……

 ほかにいう言葉はないの?」


期待なんてしてない。


だいたい平に甘い言葉なんて似合わない。


「死ねたら楽になれたのにな。」


声?

震えてる?


「センセ?」


「お前みたいな弱い奴、

 もういいわ。


 つまんないし。」


「平?」


「お前もういらない。」


「平?」


「死ぬなよ」


「平ってば、こっちむきなさいってば。」


「無理。」


「平!」
















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