緋~隠された恋情
「きゃあ!」

バスの後方で叫び声が上がった。


振り返ると

制服を着た少女に

朝日を反射させて冷たく光るものが喉元に突きつけられていた。


カッターナイフの類だろう。


「いや、助けて!」

ガクガクと震える彼女はよく知っている生徒だった。


「浅尾?」

浅尾美玲は何かと俺に絡んでくる生徒だ。


素行が悪いが頭が悪い分、

親に財力もあり、

うまく使えば、実に便利な生徒だ。


何でこんなところにいるんだ。


「何知り合い?」


「ああ、うちの学校の生徒だ」


浅尾の方も俺に気づいたらしく、必死に懇願した。


「先生!先生助けて!」


「うるさい!!」

犯人はイラっとした声で叫び、

手に力を入れたのか、

首元のナイフを横に少しずらした。


赤い血液が滴り、

周りの乗客が息を飲んだ。



「ひっ…やめて…」


「バスを停めろそうでないとこの女が死ぬことになるぞ」


イライラした声を上げる犯人に


「バス止めてください!」


浅尾の悲壮な声が響いた。








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