緋~隠された恋情
指定されてホテルの部屋に入って驚いた、

デコレーションケーキとワイン


ラブホテルに不似合いなパステルピンクの飾り付け、



一体何をしたいんだこの女。


「植木先生、待ってたわ。


 今日はお祝いしてもらおうと思って、

 来ていただいたの。」



「祝い?なんの?」


やけに浮かれた調子で、

狭い室内に置かれた椅子を勧める。


「うふふ、それは後でゆっくり話すわ、

 さあ、せっかくだから乾杯しましょう?


 フランスから、いいワインを取り寄せたの。」



ポンといい音をさせてコルクを抜くと、


トクトクと音を立ててワイングラスに注いでいく。



赤いコックリとした色と良質のワインの香りが、

朝、バスに乗ってから、何も口にしていなかった俺は、


乾いていた喉に流れ込むことを想像し、ゴクリと喉を鳴らした。


脳内の危険信号が出ていたのにも関わらず思わず手を伸ばしてしまった。


「乾杯」


という桜庭華菜里の声につられ、

チンとグラスを合わせた。


そして

うっとりとした桜庭華菜里の笑顔に急かされるように


グラスから赤い液体を喉元に流し込んだ。



鼻腔から抜ける赤ワインの独特な香りに

思わずうなるほど良質なワインだった。



「これは本当にいいワインだ。」


「でしょう?良かった気に入ってくれて沢山飲んでね。」


何倍か注がれるままに煽った。


今日は色んなことがあった、

そんなことを思い返しながら、

このワインで全てが報われた。


そんな気にもなり始めたのは、酔ったせいだろうか、

隣に座る桜庭華菜里がすごく妖艶で色っぽく映った。



















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