緋~隠された恋情
はぁぁ~

スナックから抜け出して、

人気のない路地で深呼吸した。


実際どうしていいかわからない。

真央さんのカミングアウトを聞いたって、

お兄ちゃんのことを嫌いになんかなれるわけないし、

責めることもできない。

自分が平としていることと同じことを、

お兄ちゃんもしているのだと思うと、

なんて兄妹なんだろうと、呆れてしまう。


お兄ちゃんの好きな人?


真央さんではないのだとしたら、一体?


心の隅の私が自分ではないのかと囁く。


それならどんなにか…


「よお!」


肩をぽんと叩かれた。


「きゃ」


久しぶりに見る平の顔、

懐かしく安心した。


なんで?


憎いはずのこの男の顔見てホッとするなんて、

どうかしてる。


「う、植木先生。」


「入んねえの?

 新の快気祝いだろ?」


「も、盛り上がてます。

 私はなんかちょっと、空気を吸いに出てきたの。」


「そうかあ。」


そう言って眉尻を少しあげて、

次の瞬間に私の唇に自分の唇を被せてきた。



「やぁ…ん…」





< 99 / 238 >

この作品をシェア

pagetop