学園怪談2 ~10年後の再会~
「いてててて、大丈夫か小野田」
「ワウウン」
 小野田の目の前に心配そうな一郎とジローの顔があった。一郎が小野田を抱き起こすと、小野田も頭を振って起き上がった。
 ……雪崩に飲み込まれる瞬間に、ジローが二人を崖に突き落として危機を救ったのだ。
「あ、う、ううん。大丈夫みたい。あ、それよりもここは?」
 二人が落ち込んだ場所は崖下の僅かに洞穴になっている場所だった。
「ここは……よ、よし、知っている場所まで戻って来れたぞ!」
 一郎の歓喜の言葉に立ち上がろうとした小野田だったが、足に力が入らず、代わりに激痛が走った。
「いてて、なんだよ、足が動かない」
 その小野田の足を、一郎がしゃがみ込んで見るが、その顔には驚愕の表情が浮かんでいた。
「……折れてる」
「へ?」
 にわかに信じがたい言葉が小野田の耳に飛び込んできた。
「お前、左足が折れてるよ! こ、これじゃあ動けない!」
 一郎は泣き笑いのような声を出した。
「……そ、そんな」
 でも先ほどの衝撃だ。足が折れても不思議じゃない。一郎は平気な顔をしているが、顔中キズだらけだし、先ほどから右肩を抑えているのを見ると、彼自身もどこか骨折か打撲を負っているのは間違いない。
「俺が助けを呼んでくる。ここまで来たらあと一時間も歩けば麓の村までたどり着けるはずだ。だからお前はここで待つんだ。直ぐに助けを呼んでくる」
「でも、また雪崩が起きるかもしれないじゃないか! それならここでじっと助けを待ってる方がいいんじゃないの?」
「バカ! 骨折をしたら高熱が出る。それにもし助けが来なかったら間違いなく凍傷にかかって死ぬぞ……ジロー、お前は小野田についていてやってくれ」
「ワウウン」
主人を心配してか、ジローが悲しい声を上げた。
しかし、もう一郎に任せるしか手はなかった。
「一郎、気をつけて……」
 僅かに笑顔を見せると、右肩を抑えたまま一郎は麓に向かって歩き出した。
 ……一人になった途端。辺りが更に静かになった気がした。
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