学園怪談2 ~10年後の再会~
 ……その時だった。
 ピンポーン。ガチャッ。
 玄関のインターホンが鳴ったと思った途端に、ドアが勝手に開いた。
「……」
 ここで、初めてミクに動揺の色というか、変化が見られた。
「だ、誰ですか?」
 玄関のカギをかけ忘れていた。勝手に誰かが入り込んでくることにミクは怯えたのだろうか?
「失礼しますよ」
 玄関に現れたのは、五十~六十歳くらいだろうか。どこか慈愛にオーラのようなものを感じさせる初老の女性だった。知り合いでも、近所で見かけたこともない女性だ。
「あ、あの~どちら様ですか?」
 ミクが怯えたようにママの背中に隠れる。
「初めまして。ミクさんのお父様ですね。私は死んだ人間を案内する仕事をしている者です。まあわかりやすく言うと……死神です」
 ……死神?
 普段なら笑い飛ばすか、頭のおかしな奴が来たと警察を呼ぶところだが、妙にスンナリと受け入れている自分に驚きを感じていた。
「ミクさんがお亡くなりになり、お悔やみ申し上げます。まもなく四十九日を迎えます。後悔と未練を残して死んでしまった方には、それらを成就させるためにも死んでからの時間が四十九日間与えられます。ほとんどの方はそれで満足し、成仏されますが……ミクさんについてはまだ問題が解決されていない様子です。しかし、現世においての彼女の体はもう持ちません。明日の朝までに彼女を迎えに参ります。どうか最後の別れを偲んであげて下さい」
 たんたんと話される内容が頭に染み透っていく中、一つの疑問が鮮明に頭に浮かびあがる。
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