学園怪談2 ~10年後の再会~
……パアアアア。
目の前に光が降りた。ミクの周りを照らす暖かな光は屋根を通り抜けて天から降り注いでいた。
「パパ……ママ」
ミクは光に包まれると、ボロボロになった体がみるみるうちに瑞々しさを取り戻し、あの愛らしい瞳。よく笑う見慣れた笑顔が久しぶりに姿を現した。
「ミク。ミク!」
ママはパパと寄り添って、光に包まれて天に向かって上昇を始めたミクの……最愛の娘の名前を呼んだ。
「あり……がとう。パパ、ママ、いっぱい生きて。それから……あとでまた遊んであげるね。泣いちゃ悪い子だよ」
光に包まれたミクは今までにない笑顔で二人を見ると、そのまま天に向かって消えていった。
……後には何も残らず、初めからミクの影も形もなかったかのように立ち尽くして天井を見上げる二人だけが残された。そこで起きた事を証明するのはテーブルの残った二つのグラスだけだった……。
「ミク。さようなら。また……遊ぼうな」
パパとママは手を繋いで、静かに最愛の娘の成仏を見届けた……。
……。
みんな無言で下を向いていた。話をする紫乃さんも涙交じりの声だった。
「先生から聞いた話なんだけど、先生の娘さんの名前はクミって言うんだって。3歳の時に事故で亡くなってるんだって。その話のミクがもしかしたらクミさんなのかな? って思ったけど、聞けなかったよ」
徹さんが紫乃さんの肩を優しく抱いた。それに安心したように紫乃さんは頭を徹さんの肩に預けた。
……一つの家族の悲しいエピソード。小さな子供に宿る底知れぬ愛情を感じるエピソードだった。愛情が薄いといわれる現代においてミクの小さな約束を守り通した愛情には学ぶところが多いように思えた。
「ありがとうございました。じゃあ次をお願いしますね」
私は胸を詰まらせつつ、更なる世界への扉を進んだ。
残り14話
目の前に光が降りた。ミクの周りを照らす暖かな光は屋根を通り抜けて天から降り注いでいた。
「パパ……ママ」
ミクは光に包まれると、ボロボロになった体がみるみるうちに瑞々しさを取り戻し、あの愛らしい瞳。よく笑う見慣れた笑顔が久しぶりに姿を現した。
「ミク。ミク!」
ママはパパと寄り添って、光に包まれて天に向かって上昇を始めたミクの……最愛の娘の名前を呼んだ。
「あり……がとう。パパ、ママ、いっぱい生きて。それから……あとでまた遊んであげるね。泣いちゃ悪い子だよ」
光に包まれたミクは今までにない笑顔で二人を見ると、そのまま天に向かって消えていった。
……後には何も残らず、初めからミクの影も形もなかったかのように立ち尽くして天井を見上げる二人だけが残された。そこで起きた事を証明するのはテーブルの残った二つのグラスだけだった……。
「ミク。さようなら。また……遊ぼうな」
パパとママは手を繋いで、静かに最愛の娘の成仏を見届けた……。
……。
みんな無言で下を向いていた。話をする紫乃さんも涙交じりの声だった。
「先生から聞いた話なんだけど、先生の娘さんの名前はクミって言うんだって。3歳の時に事故で亡くなってるんだって。その話のミクがもしかしたらクミさんなのかな? って思ったけど、聞けなかったよ」
徹さんが紫乃さんの肩を優しく抱いた。それに安心したように紫乃さんは頭を徹さんの肩に預けた。
……一つの家族の悲しいエピソード。小さな子供に宿る底知れぬ愛情を感じるエピソードだった。愛情が薄いといわれる現代においてミクの小さな約束を守り通した愛情には学ぶところが多いように思えた。
「ありがとうございました。じゃあ次をお願いしますね」
私は胸を詰まらせつつ、更なる世界への扉を進んだ。
残り14話