学園怪談2 ~10年後の再会~
……人は確かに死んだら忘れられていく。写真や芸術作品などで、その人の記録や記憶は残せても、直接的な記憶を知る者は100年もたてば一人も現世からいなくなってしまう。それを孔明は恐怖と感じているのだ。それで現代に蘇ろうとしている。それが自分の命の再生と共に、様々な弊害を世に呼び起こす事になるのを知って。
「それでもあなたは……生き還ってはいけない」
 能勢さんがロザリオを向けた。
「ぐああ! や、やめてくれえええ……」
 ロザリオから出る光が孔明の体を覆っていく。
「成仏しろよ。せめてお前さんの記憶は俺たちの中だけでも行き続けるさ」
 徹さんがロザリオを向け、私もそれに伴ってロザリオを向ける。
 大、中、小のロザリオが向けられ、後ろでは淳さんが死者の書の逆召喚の呪文を唱え始めた。
「ぐううう! 消える! 俺の……蘇りつつあった体が! 体がああああ!」
 もう抵抗する霊力は残っていないのか、孔明は苦しげな悲鳴を上げた。
 
……その時だった!

「待って!」
 後ろからの静止を呼びかける声に振り向くと、そこには帰った筈の赤羽先生、そして私は見たことのない女性がもう一人いた。
 徹さんが驚いて声をかける。
「赤羽先生、学園長!」
 徹さんの声に反応したように、学園長と呼ばれた女性は歩み出てきた。
「彼が……井上孔明なのですか?」
 質問しつつ、学園長は徹さんの方を見ず、前の孔明の方へと歩み出る。
「はい。もう彼には復活をするだけの霊力は残されていません。間もなく消滅するでしょう。これで学園も平和にな……」
「お父さん!」
 ……その意外な言葉に一同が凍りつく。
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