学園怪談2 ~10年後の再会~
 ……白のワゴン車に乗り込んで移動すると、チーフは慣れた手つきで無線を使いながら誰かと連絡を取っていた。
「さっそく仕事だ。10分後くらいに到着するから準備しとけよ」
「は、はい」
 俺たち他の3名は皆青い顔をしながら頷いた。
 ……このまま永遠にワゴン車が目的地に到着しなければいいのに……。
 しかし、無常にもその時はやってきた。
 ……ワゴン車を降りて近くの踏切から線路に出ると、遠くにホームと停車している電車が見えた。
 野次馬や交通渋滞を避けるために、チーフは経験を活かして最速で現場に辿り着いたのだ。
「しっかし、なんか腐った匂いがしない?」
「ああ……俺、もう気分が悪くなってきた」
 早くも他の2名は弱気な顔を見せたが、俺の顔もきっと似たようなものだったに違いない。それにさっきから何か変な匂いが辺りに満ちている。何というか、血の匂いだけなら予想していたので我慢できるが、この何か腐ったような匂いは確かにキツイ。

「さあ、それじゃあ始めようか」
 チーフは俺たちを先導すると、さっそく手にした黒いビニールに何かを拾い上げて入れた。
「ひいいい!」
 それを後ろから覗き込んでいた一人の男が、顔を横に背けるのと同時に隣の男の顔に吐いた。
「うげええ、うげえええ」
 何も朝食を食べていないので、男の口からは酸っぱい匂いの胃液だけが繰り返し吐き出される。
「うわああ! うわあああ!」
 隣の男は胃液を吐きかけられた事よりも、目の前に広がる光景に腰を抜かしていた。
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