学園怪談2 ~10年後の再会~
 ……。
 突然、俺の前を歩く峯田の足が止まった。
「うっぷ。おい、どうしたんだよ二人とも……う!」
 二人が止まった理由が分かった。
 ……出た。出たのだ。
 ボロボロになった服装。髪の毛の半分は抜け落ちているのか頭皮がむき出しで、ほとんど肉の無いシワシワの皮膚の下に骨が見え隠れする体。
「あ、あ、あああ」
 あまりの驚きで横川はすでに腰を抜かしてしまった。
「で、出やがったな。さあ、さっさと質問をしやがれ」
 なぜか峯田は非常に強気で、ゾンビに言葉を投げかけた。
 ……赤く光る目をこちらに向けて、しばらく静止していたゾンビは、やがて静かに重苦しい口を開いた。
『……エ……ラ……ベ』
 その直後、薄暗くて見えなかったゾンビの後ろに、2本の道とそこに何かボンヤリとした映像が浮かんだ。
 右は金銀財宝や宝石などの映像。
 左は帰り道のようで、乗ってきた車の見える樹海の出口が映し出された。
「す、すげえ、どうなってんだ一体?」
 横川の驚きの声に、峯田は臆する事なく財宝の道に進んだ。
「おい待ってくれよ!」
 慌てて転げるように横川は峯田に続く。
 俺は注意深く道の中心に立つゾンビの脇を通り抜けると、峯田達とともに右の財宝を目指すことにした。
 ゾンビはおどろおどろしい雰囲気はそのまま、振り返ることなく我々を通過させた。
「行くぞ」
 峯田に先導され、俺たちは先へと進んだ。
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