学園怪談2 ~10年後の再会~
 ……そして、しばらく歩くと……またゾンビが出た。
『……エ……ラ……べ』
 今度は選択肢が4つに増えていた。財宝の道、帰る道、そして残るのはゾンビに喰われる道が2本だ。
「なんだこりゃ? 今度はゾンビの道が2本? どうなってるんだ?」
 大袈裟に驚く横川だったが、峯田はさらに先に行こうとする。
 横川は先に進もうとする峯田と俺の間で首をキョロキョロとさせる。
 ……俺は感じた。
 今まで以上にこの先のエリアは危険な状態だという事に。何か入り口から入ってきた時の背筋がゾクゾクする感じに加えて、湿度を増した空気というか、重たい陰湿な気配が漂ってくる……そんな感じがした。
「……俺は引き返すよ」
 自然にその言葉が口を伝って出た。
「大ちゃん……」
 横川が救いを求めるかのような目で俺を見たが、少し先で待っていた峯田が声をかけた。
「何してんだ! 宝を独り占めするぞ! 横川、山﨑みたいな臆病者はほっといて行くぞ!」
 峯田の言葉に横川は唇を噛むと一言だけ言った。
「俺……大丈夫だよね。生きて帰れるよね」
 そして振り返ると、横川の姿が樹海の奥へと消えていった。
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