学園怪談2 ~10年後の再会~
……私は泣いていた。
自分の好きな……大切な人を護る為に10年間という歳月を捧げた二人の物語に。
「でも、なんで一人で抱え込んだんだよ。俺に……俺にだけは話してくれたって……」
淳さんは少し悔しそうに言った。双子としてこの世に生を受けて、今まで何をするにも一緒だったんだし、その想いは複雑なのだろう。
「すまなかったな淳。紫乃の事は俺一人で何とかしたかったんだ、ま、あんな強気な女だけど『俺にとって一生をかけて護ろうと決めた女』だからな。お前も結婚を考えるような女性が出来たら俺の気持ちがわかるさ。それにな、お前に相談して、万が一にも呪いがお前に飛び火する事は避けたかったんだ……お前は紫乃とはまた違った意味で、俺にとってかけがえのない存在だからな」
徹さんの言葉に淳さんは背中を向けた。
「バカ野郎……お前らしくないんだよ、かっこつけやがって……」
私は淳さんが僅かに肩を震わせ、涙を押し殺しているのを見逃さなかった。
「お~い、ちょっと何をやってるのよ~! 早くおいでよ~!」
校舎の方から、元気を取り戻した紫乃さんが手を振っている。
「ああ、すぐ行くからちょっと待ってくれ」
「もう~、徹はノロマなんだから~」
私たちはゆっくりと紫乃さんの方へと歩き出した。
……人は、常に大切な誰かと共に時を刻んでいるのだという事を実感できるエピソードになった。
徹さんはこれからも黙って紫乃さんの人生を支え続けるのだろう。そして淳さんと私の胸にも、みんなに語られる事のない真実は生き続ける。星となった美也子さんの存在と共に……。
残り39話
自分の好きな……大切な人を護る為に10年間という歳月を捧げた二人の物語に。
「でも、なんで一人で抱え込んだんだよ。俺に……俺にだけは話してくれたって……」
淳さんは少し悔しそうに言った。双子としてこの世に生を受けて、今まで何をするにも一緒だったんだし、その想いは複雑なのだろう。
「すまなかったな淳。紫乃の事は俺一人で何とかしたかったんだ、ま、あんな強気な女だけど『俺にとって一生をかけて護ろうと決めた女』だからな。お前も結婚を考えるような女性が出来たら俺の気持ちがわかるさ。それにな、お前に相談して、万が一にも呪いがお前に飛び火する事は避けたかったんだ……お前は紫乃とはまた違った意味で、俺にとってかけがえのない存在だからな」
徹さんの言葉に淳さんは背中を向けた。
「バカ野郎……お前らしくないんだよ、かっこつけやがって……」
私は淳さんが僅かに肩を震わせ、涙を押し殺しているのを見逃さなかった。
「お~い、ちょっと何をやってるのよ~! 早くおいでよ~!」
校舎の方から、元気を取り戻した紫乃さんが手を振っている。
「ああ、すぐ行くからちょっと待ってくれ」
「もう~、徹はノロマなんだから~」
私たちはゆっくりと紫乃さんの方へと歩き出した。
……人は、常に大切な誰かと共に時を刻んでいるのだという事を実感できるエピソードになった。
徹さんはこれからも黙って紫乃さんの人生を支え続けるのだろう。そして淳さんと私の胸にも、みんなに語られる事のない真実は生き続ける。星となった美也子さんの存在と共に……。
残り39話