愛を知る日まで
「ね、柊くん。さっきプレゼントくれるって言ってたよね?」
「うん、言ったよ。」
「じゃあコレがいい。コレ買って。」
そう言ってはにかむように笑いながら真陽が差し出して来たのは、ピンクの可愛いパッケージに入ったチョコ菓子だった。
「コレね、新発売なんだよ。CMで見て食べたいなーと思ってたけど、ちょっとお高いの。」
値札には498円と書いてある。確かにチョコにしては高めか?
「いいよ、女って甘いモンが好きなんだろ?プレゼントしてやる。10個?20個くらい?」
「ややや、そんなに食べきれない。1個でいいよ。」
「1個でいいのか?他に欲しいもんは?」
「これだけでいい。これがいいの。」
「ふーん?」
俺が手を伸ばすと、真陽はスゴく嬉しそうな顔をしながらそれを渡してきた。
…へえ、こんなんでいいのか。プレゼントってもっと難しいものかと思ってた。
そんな風に考えながらピンクの箱を籠に入れると、真陽は少し頬を赤らめながら「えへへ」と笑った。