愛を知る日まで
その頃、俺は既に中学生になっていたけど、学校でも独りなのは相変わらずだった。
時々、小学生時代の噂を聞いて喧嘩を挑みに来るヤツがいるくらいで後は俺に関わろうだなんて人間は教師にも生徒にもいる訳もなく。
俺に向けられるのは『虐待の施設育ち』のレッテルによる同情のふりをした好奇心と嘲りだけ。
孤独と苛立ちと退屈の日々。
そんな生活を送る俺の前に、ある日現れたのは
H養護施設が閉鎖されそれぞれ別の施設に移されてからは会うことも無かった彰だった。
「久しぶりだな、柊。」
下校時刻を狙って校門に立っていたところを見ると、どうやら偶然では無くわざわざ俺に会いに来たようだ。
彰の顔は半年ぶりくらいに見るけど相変わらずバカっぽそうで、増えたピアスの穴がますますそれを強調していた。
半年ぶりの再会に嬉しくもなんとも無い俺はそのまま彰を無視して通り過ぎようとした。
「相変わらずだな。ちょっと待てよ、おめえに用事があるんだよ。」
そう言いながら彰は歩く俺の肩を掴んで引き止めた。
睨みつける俺に構わず、彰は勝手に喋り出す。
「今うちのチームと対立してるトコがちょっと厄介でよ。明日ボコしに行くんだけどうちの腰抜けの舎弟だけじゃちっと負けそうなんだよ。柊、お前どうせ暇してんだろ?力貸せよ。」
--どこまで頭が悪いんだコイツは。
俺は怒りを通り越して呆れた。
そんな話にまさか俺が協力するとでも思ってるのか。
うんざりして肩に乗せられた手を払おうとした時
「タダとは言わねえよ。」
ニヤリと笑って彰が言った。
「お前どうせ童貞だろ?女、抱かせてやるよ。」