愛を知る日まで
「じゃあ最後に、キスして。」
俺がそう言うと案の定、真陽の顔がみるみる赤くなっていく。
「で、でも…!さすがにここじゃ誰かに見られたら…」
やっぱり案の定ためらう真陽に、俺はすっとぼけた顔をして、机の上の色紙の束をバラバラと床に落とした。
「あーやべー落っことしちゃった。櫻井さん、拾うの手伝って下さーい。」
「えええ??」
俺の意図が読めない真陽が不思議そうな顔をしながら慌てて散らばった色紙を拾い出した。
「そこ、机の下の拾って。」
そう言うと、真陽は素直に従って身を屈めながら机の下に潜って行った。そして、俺も身を屈めてそれを追う。
二人で机の下に潜り込んだところで、やっと真陽が俺の意図に気が付いた。
クスリと吹き出した後、優しく目を閉じた真陽に
俺はそっと、唇を重ねた。
―――きっと次にするキスは
もうこんな風に隠れたりしないから。
祈って、誓った
少しだけ、ほんの少しだけ、お別れのキス。
「いってきます。」
飛び発ちの、キス。