愛を知る日まで



と云うのも、比較的穏やかなこの場所でも俺の事を影でコソコソ言う奴は少なからずいたからだ。


「あの子、常識が無いわよね。勝手な事ばっかりして。」

「ありがとうもごめんも言わないなんて子供以下じゃない。」

「ぶっちゃけ、ちょっと一緒に仕事しづらいよね。」



…陰口なんかに今さら傷付く事は無い。悪く言われるのは慣れっこだ。


けど、いちいちそんな奴等と進んで関わる程お人好しでも無い。


そうしてやっかい者の自覚を持った俺は、なるべく子供としか関わらなくなった。


雉さんには恩があるから言うことは聞くけど、後は好きにやらせてもらった。どうせタダ働きのボランティアだし。


けど、勝手に振る舞えば振る舞うほど悪戯盛りのガキどもはよくなついた。


ガキってのはルールの外にある遊びが好きだからな。それに、親と離されたばっかりのガキには寂しさを忘れるぐらい無茶な遊びをした方がいいんだ。夜になって不安で泣かないように、滅茶苦茶に遊んで疲れて寝ちまえ。


そうやってガキ大将みたいに振るまう俺には子供がよく集まり、そして俺自身もこれを面倒だとは思わなくなっていた。



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