愛を知る日まで
達すると、途端に脱力するのは男の悲しい性で。
もっと起きて真陽と触れ合っていたいと思いながらも、昨夜の一睡もしていない夜勤が響いて俺は真陽を胸に抱えながらストンと眠りに落ちていった。
陽が高くなって部屋がますます明るくなったのと、気温が上がってきたせいで目を覚ますと、時計はもうすぐ昼の時間を指そうとしていた。
俺の懐では真陽がスースーと寝息をたてている。彼女の髪が俺の素肌の胸に触れてくすぐったい。
その幸せ過ぎる光景に、俺は自然と目許が緩んだ。
可愛いなぁ。ずっとこうして真陽の寝顔を眺めていたい。
しばらくの間、穏やかな寝顔を眺め続け、時々指で頬を撫でたり髪を梳いたりしていた。
…本当に、宝物みたいだ。
自分の手元に確かに在るその存在は、まるで幸せが形になったみたいで。
真陽がこうして俺の傍にいれば、もう他になにも要らないのに。
大切で大切で、どうしようもなく好きで、苦しいくらい幸せで、そして。
切なすぎて、涙が滲むんだ。
俺はゴシゴシと手の甲で涙を拭うと、真陽にキスをひとつ落として布団から立ち上がり服を着た。