愛を知る日まで
夜になって、真陽に電話するも当然のように出ない。
あれ以来、慎重になってしまった真陽とは連絡をとるのすら難しくなってきてしまってる。
虚しいコール音を聞きながら焦りが募る。
このまま繋がりを絶たれてしまったらどうしよう。
ある日突然この電話が繋がらなくなってしまったら。
――真陽、真陽。
どうして、俺達こんな目に遭わなきゃならないんだよ。
悔しい。俺だって真陽がこんなに好きなのに。好きな気持ちは絶対婚約者のヤツなんかに負けないのに。
婚約者なんか、いなければいい。
それさえ無ければ、真陽は自由になれるはずだ。
沸き上がってくるドロドロとした思い。
不安が、淋しさが、嫉妬が、俺をおかしくさせる。
このままだと、いつか真陽は俺の手を離してしまう。離さなくちゃいけなくなる。
そうなる前に
奪い取る。どんな手を使っても。