愛を知る日まで
どうして、あんな事を考えたんだろう。
馬鹿だ。俺はクソ馬鹿ヤローだ。
「くっくっく…」
自嘲の笑い声をあげながら、その場に座り込んだ。
真陽は、絶対に来る。
絶対に、俺の手を離したりしない。
あの日
罪に震えながらも必死で俺を受け入れてくれた彼女の強さを
どうして俺は信じられなかったんだ。
全ての罪と覚悟を背負って、俺の手に堕ちてくれた彼女の優しさを。
真陽は、来る。絶対に。
例え償いの道が断たれようとも
裏切りの咎が増えようとも
俺を見捨てる事は、しない。
「約束したんだ…トマト、食べに来るって。」
ごめんな、真陽。
俺、淋しくてどうかしてたんだ。
取り返しのつかない選択をして余計に真陽を悲しませる所だった。
俺、信じるから。
真陽は、絶対に会いに来るって。
汚い手を使わなくったって、真陽は俺の手を離したりしないって。
信じるから。
俺はもう一度、青い小さな実を指で優しく撫でた。