愛を知る日まで





「はは…やった、やっと実がついた…。」



俺はベランダに出て、成ったばかりのミニトマトの実をそっと撫でた。




まだ、青い。


でも成った。これからきっと赤くなる。




『また来るよ。採りたて、食べさせてね』



途端に、胸に甦る真陽の声。








---…………そうだ、約束したんだ。





また来るって…言ったんだ。



トマト、食べに来てくれるって。



真陽は…


真陽は、約束したんだ。





「は、はははは…は、」



笑いが、込み上げてきた。



自分が馬鹿すぎて、笑えてきた。





< 94 / 227 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop