青いブレスレット
……やばい、目があった。



「………雪川さん?」


水原くんがこっちに近づいてくる。


どうしよう、言い訳が思いつかない………。




「あ、あのね…昼間にここ来たときに、ブレスレット落と、落としちゃって、探しに来てたら、ふ、2人が入ってきて、出るに出られなくなって……」


わたしは突っ掛かりながらも、本当のことを言った。

水原くんは信じてくれるかな……。



「ごめんなさい!聞くつもりはなかったの!信じて!!!」



わたしは土下座しそうな勢いで水原くんに頭を下げた。


「頭上げて。大丈夫、雪川さんが嘘つく人じゃないのは分かってるから」



水原くんの優しい声。

よかった。

信じてくれた………。



「…じゃあさ、さっきの全部聞いてた?」


「…え、うん、まあ……」


「…そっか」



水原くんは、少し顔が赤くなった。


わたしは思ってたことを言ってみた。

「…水原くん、わたしね、もしかしたら水原くんは千夏ちゃんに心変わりするんじゃないかと思ってこわかっ…」

「それはないよ」



…へ?

話している途中なのに、きっぱりと否定された。



「相手が山寺だから、とかじゃなくて、誰でも。雪川さんは誰かに告白されたら、ついていっちゃうの?」

「え!?」



わたしはブンブンと首を横に振った。



「ついてかない!水原くんが好きだもん!」



それを聞いて、水原くんはにこっと笑った。



「よかった」



…あ、水原くんの笑顔。

ずっと避けてた。


見るのはいつ以来だろう。



「そういえば、雪川さんと話すの、久しぶりだね。メールも返ってないし」

「…え?」

「メール返ってこないから、また避けられてるんだって思って、俺も近づかないようにしてたけど」



……うそ?


「水原くん、メールくれたっけ?」



「送ったよ!順也と話した日に、大丈夫?って!」




………知らなかった。

わたしは水原くんから連絡もこない、終わったと思ってた。



…バカじゃん。



「まあ、山寺に気を使って、っていうのもあるよね」



たしかにそれはあった。

罪悪感がどうしてもなくせなかった。


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