*双子ちゃん*
あ、そっか。
観戦席って遠いから顔見えないんだった!!
「お、覚えてない…。」
「はぁ…。んだよ、それ。なんで俺のことは覚えてんのに、あんな有名な皐月先輩は覚えてないんだよ。」
「いや、隆二との試合は、なんか印象的だったから…かな。」
すると、見る見るうちに隆二の顔は赤くなっていった。
「隆二??」
「おまっ、そんな顔でそんなこと言うな!!!」
「へ!?」
あたし、今どんな顔してたの??
「ただでさえ、イケメンなのに…」
いや、イケメンじゃないんですけど…
隆二と話していると、皐月先輩の話はいつの間にか終わっていた。
皐月先輩…か。
どんな先輩なんだろう…
このとき、あたしの胸の奥のほうで、何か違和感を感じた。
それが何なのか知るのは、まだまだ先のほうだった。