はじめてを、おしえて。


何と言われようが、下書きを取り戻さねば。


もがくと、突然ボクを押さえていた手が離されて。


反動で、ボクは地面に、無様に転びました。


ぐしゃ、と目の前で下書きが踏みつぶされます。


その足をどけようと、手を伸ばした、その時――。



「何してんだよ」



背後から、声がかかりました。



「藤原君……」



告白すると言っていたのであろう女子が言います。


ボクは金縛りにあったように、動けなくなってしまいました。


あぁ……。


なんてところを、見られてしまったんだろう……。



「なんも。ゲリ子が勝手にコケただけだよ?」



般若のような顔を、一瞬で可愛らしく変えた女子が言いました。


藤原君は、黙ってボクの前に立ちます。


まるでボクを、その背中で守るように。


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