俺様ヤンキーくんとのキスから始まる恋



          ☆

 食事を終え、店を出たところで俺は足を止めた。

「どうかしましたか?」

 隣にいる佳代子が聞いてくるが、俺は答えられなかった。

 店の前の横断歩道の先に、一人の少女が立っていた。

 長い栗色の髪を団子に結わえたそいつは白のチュニックTシャツを着て、短パンを履いている。短い靴下を履いてるせいで、細長い脚がもっと細長く見える。

「…美紀…」

 俺は呟いた。

 反対側の歩道にいるけど、俺が見間違う筈がない。

 美紀が、持っていた本を取り落したのが見えた。

 俺は信号が青であることを確認し、横断歩道を渡った。

 美紀は落とした本を拾わずに走って行く。

「待てよ!」

 俺は叫ぶが、美紀は待ってくれない。

 どんどん走って行く。

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