不思議の国の俺。
___息が苦しい。

目眩がする。

なぜ走り続けるのか分からない。

人間ってだけで、

驚き、俺を何処かへと連れていこうと

しているトランプ。

全く意味わかんねぇよ。

「げほっ、げほ…はぁ、はぁ…」

見ろ。

お前も苦しそうじゃねぇか。

……しかし、トランプは

走るのを止めなかった。

それと同時に、俺も走り続けた意味を

悟った。

悟ったって言うか、

感じた。

…止まれば、何かが終わる。

苦しいが、走らないといけない。

……そんな気がした。

徐々に鋼鉄のように重く感じる足。

でも、耳に驚いたのは、

何か意味がある筈。

もう、自分は何をしているのか

分からないくらい、意識は

飛んでいたが、この一言で

呼び戻された。

「…ケンジ、ここに入って…」

揺らめく視界。重い体。

目の前にあったのは、またもや

メルヘンチックな…

小屋だった。

「何だ、ここ……」
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