ALONES
だって、酷いじゃない。
この5年間…アルがどんな想いで生きて来たのか、知りもしないで。
勝手に殺して、空の棺を故郷に埋めて。
きっと彼は棺に入ってでも、故郷に帰りたかったと思う、それに…。
たった独りきりで彼は苦しんでいた。
今にも気が狂いそうなくらいに泣いて、泣いて、それなのに…!
けれど。
アルは優しくそんな私の手を引き止めて、「ありがとう。」と微笑む。
グッと歯を強く噛みしめて…私はただ震えた、でも…アルは。
「これでいいんだよ。こうでもしなければ僕の不在に矛盾が生まれる。それに、王位継承権を僕から弟に移すためには、この方法が一番違和感が無いんだ。」
父は優しいから、と付け加えて彼は静かに目を伏せた。
寂しくないよ、悲しくないよと、無理やり笑っているようにしか見えない。
「…それで、アルはいいの?もうあなたは王子ではなくなるわ、それどころか――」
あなたという存在が、無くなって――。
言おうとた言葉をアルは察したのか、急に私を見据え、首を振った。
「それは、違う。」
今までで一層煌めく琥珀色の瞳を私に向けて、何度も首を振った。