ALONES
「アルヴァスティン・フォン・オルフィリアは、確かにオルフィリア王国の第一王子だった。けれど、ただそれだけなんだ。名前なんて、地位なんて、権力なんて僕には何の価値も無い。
それにあの時君と出会わなければ、僕は本当の意味で死んでいたよ。」
キラキラと眩く、彼の瞬きは星が輝く様に、美しく。
「でも今はこうして生きている。アルヴァスティン・フォン・オルフィリアが死んでも、僕は生きている。
それだけで十分なんだよ。君が側に居てこれからもずっと、一緒に生きていけるのなら…僕はこの名前だって要らない。」
「――アル…。」
「僕はただのアルヴァスティンだ。君を好きになった…ただの、男。そして、これからも君と二人で生きていきたいと思ってる。」
それとも君は、王子の僕がよかった?
そんな風にあなたが言うから、思わず泣きそうになった。
でも…嬉しかった。
私が側にいてもいい。
きっと今の言葉はその証明。
「馬鹿ね、なんだっていいわよ。アルが私の側にいてくれるなら…それだけで十分よ。」
少し照れくさそうに告げれば、アルはくしゃりと笑って私を抱き寄せる。
「ありがとう、キーラ。」