ALONES
その笑顔に突拍子も無く胸が高鳴って、思わず彼の両手から逃れてしまった。
バクバクと音を奏でる、不器用な心臓を右手で押さえつけたまま、息を吐く。
「キーラ?」
不思議そうにアルが私を見るけれど、私には彼を見つめ返す余裕すら無くて。
うう、ずるい。
そんな笑顔を見せないで。
「好き。」が溢れて死んでしまいそう。
もう、大好きよ、馬鹿。
馬鹿馬鹿、
「ばか!、す、好き!」
思わず口から零れた、あいしてる。
けれどそんな私を馬鹿にするわけでもなく、笑うわけでもなく、アルはいつも優しく微笑んで受け入れてくれるから。
「僕もだよ。」
数え切れない程甘えて、恥ずかしいくらい甘えて、もう戻れなくなってしまう。
――それでもいい。
寧ろ、戻れなくてもいいし、戻りたくも無い。