ALONES
同時に怒鳴った僕らの声は、驚くほど辺り一帯に響き渡り、人々の足を一瞬止めた。
「今度は何事?」と言わんばかりの大量の一瞥を喰らい、流石に気まずくなった僕達は、お互いそっぽを向いたまま黙り込む。
―—君のせいだよ。
—―あなたのせいよ。
言わなくても、しっかり聞こえるぐらい眉間に皺が寄っていたに違いない。
そんなこんなで暫く唸りあっていると、突然。
目前から笑い声が飛んできた。
勿論僕らの目の前にいるのは、ただ一人しかいない。
恐る恐る向き直ると、何が面白いのか…割れた食器を持ったまま大笑いする店主がそこにいて。
腹を抱え大袈裟なくらいひいひいと息を吐き、目尻に溜まった涙を拭く。
一体、何が面白いんだ。
なんだかさっきもこんな事を思ったような気がする。
店主は笑いを堪え、僕らを見ると、急にとんでもない事を告げた。
「—―気に入った。好きなモン、好きなだけ食ってきな。」
――ん、?
意味は分かる。
でもあまりにも唐突すぎて、尚且つ色々と飛びすぎて、何を言っているんだこの人はと、空回りした思考回路が暴走し始める。