ALONES
一方キーラも堂々と口を動かしながら、店主に物申す。
「料理、おいしいわよ。あの豚はマズイって言ったけれど、私はおいしいと思うわ。」
もぐもぐもぐ、ごっくん。
そして挙句の果てに、
「おかわり。」
こんなことまで言い出したから、
僕は思わずトランクをボトリと落とし、大慌てで頭を下げた。
「——っ、すみません…!か、彼女に悪気は無いんです、」
顔面蒼白とは、こんな気分の事を言うのだろう。
けれど、キーラはツーンと頬を膨らませたまま、
「別に悪い事なんてしてないわよ。」
反省の色すらない。
「お代はちゃんと払います…!」
ちょっとは反省してよと視線を送っても、
「あの豚が残して行った料理を食べただけ。」
この人魚さんは、耳が無いのか聞こうともしなくて。
いい加減、胃がムカムカしてくる。
本当に、なんなんだよ!
「―だから!」
「それがダメだって言ってるんだ!」
「それの一体何がダメなのよ!」