ALONES
彼は何度か空気を吸い、呼吸を整えると眉間に皺を寄せたまま目を閉じた。
「兎にも角にも…面倒事はごめんだって言ってんです、」
思わずそう告げれば、ランベールは机の陰に隠れたままハハハと笑う。
「面倒事が嫌いな癖に騎士やってんのかお前。」
「うるさいな…。」
机に突き刺さったままの短剣を抜き、ヨアは尻餅を付くようにしてその場に座り込んだ。
疲労感がどっと押し寄せ、再び痣が痛み始める。
「今日の事は…誰にも言いませんから、早く部屋に帰って下さい。」
いい加減帰れよと心底思いながらも頼んでみるが、相変わらずのランベールは「無理無理。」と子どもの様に首を振る。
ならばとヨアは睨みを利かせ、
「じゃあレイチェルに報告書送りますから。」
そう脅しをかければ…彼は不服そうに唸りながらも、渋々部屋から出て行った。
しかしその後何度か扉が開き、
「レイチェルに変な手紙送るなよ!俺が確認するからな!」
だなんて言う上司の姿を見て、情けなく感じたのは言うまでもない。
ヨアはようやく静かになった部屋の中で、座り込んだまま…窓の外を眺めた。