『無明の果て』
終わるその日に、私達は結婚式を挙げる。
私達ふたりだけでと、わがままを許してくれた両親に、アメリカでと、更に驚かせてしまった事を、これから時間をかけて恩返しをして行くつもりである。
「一行、この間ね、ドレス見に行って来たの。」
「あぁ、語学スクールの人が紹介してくれたって、そこ?」
「そう。
気に入ったのが見つかってね、写真撮ったから後で送るわ。
あ、やっぱり止めとく。
秘密 秘密。」
「何だよ。
ひとりで楽しんじゃって。
ごめんね、麗ちゃん。
全部ひとりで準備させて。
なんだっけ。
岩沢さんだっけ?
その人はどういう人なの?」
「こっちに来た時会わせるわ。
素敵な人よ。」
慌ただしい毎日が、私達の特別な日を迎える準備を急かすように過ぎて行く。
そっと静かに私達が主人公になるその日を待ち、着る事はないかもしれないと思っていた裾を引いた美しいドレスに包まれ、願い、誓い、祈りを捧げる特別な日が、現実のものになろうとしている。
自分の意思でストーリーを創る人生など出来るはずもないけれど、自分の出来る事をやって行く日々の積み重ねの通過点に、やっぱりこんな日が来るようにと、ずっと憧れ続けていたことを、強がらずに嬉しいと言える、そんな素直な心を忘れてはいけないと思っている。
同じ名前を持つ、顔も知らない女性の、あの美しい手紙を読んでから、一行とのこれからに、たとえ思いもよらぬ出来事が立ちはだかったとしても、踏ん張るだけでなく、少し力を抜いて立ち止まる勇気も必要なんだと、あの手紙はしっかりとこの胸に刻み込む力を与えてくれた。
式の前日、一行はここへ来る。
私達ふたりだけでと、わがままを許してくれた両親に、アメリカでと、更に驚かせてしまった事を、これから時間をかけて恩返しをして行くつもりである。
「一行、この間ね、ドレス見に行って来たの。」
「あぁ、語学スクールの人が紹介してくれたって、そこ?」
「そう。
気に入ったのが見つかってね、写真撮ったから後で送るわ。
あ、やっぱり止めとく。
秘密 秘密。」
「何だよ。
ひとりで楽しんじゃって。
ごめんね、麗ちゃん。
全部ひとりで準備させて。
なんだっけ。
岩沢さんだっけ?
その人はどういう人なの?」
「こっちに来た時会わせるわ。
素敵な人よ。」
慌ただしい毎日が、私達の特別な日を迎える準備を急かすように過ぎて行く。
そっと静かに私達が主人公になるその日を待ち、着る事はないかもしれないと思っていた裾を引いた美しいドレスに包まれ、願い、誓い、祈りを捧げる特別な日が、現実のものになろうとしている。
自分の意思でストーリーを創る人生など出来るはずもないけれど、自分の出来る事をやって行く日々の積み重ねの通過点に、やっぱりこんな日が来るようにと、ずっと憧れ続けていたことを、強がらずに嬉しいと言える、そんな素直な心を忘れてはいけないと思っている。
同じ名前を持つ、顔も知らない女性の、あの美しい手紙を読んでから、一行とのこれからに、たとえ思いもよらぬ出来事が立ちはだかったとしても、踏ん張るだけでなく、少し力を抜いて立ち止まる勇気も必要なんだと、あの手紙はしっかりとこの胸に刻み込む力を与えてくれた。
式の前日、一行はここへ来る。