『無明の果て』
この重い扉の向こうに私達を待ち受ける未来がある。



ベールに包まれたドレスの裾を踏まないように、私は一行の腕を少し引いた。



「ん?」



緊張した顔で覗き込む一行の耳元に囁いた。


「三人」


「なに?」


「バージンロードは三人で歩くのよ。」


「麗ちゃん…」



「順番がメチャクチャだ。」


Vサインした私の手を一行は強く握った。



泣かないで、一行。



花嫁より先に泣いたらカッコ悪いよ。



この日の空を覚えておこう。


三人で歩く扉の向こうを照らすこの大空の、この青さを覚えておこう。



讃美歌が聞こえる。



ゆっくり開き始めた扉の隙間から見えて来たのは、美しいステンドグラスと私達を導く神父様。




名前は



岩沢 輝
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