『無明の果て』
涼、さっき言いかけたのはね、今のあなたと はじめて会った時のあなたが やっぱり私のあこがれだって云う事。



愛したり、恋したりしなくても、あこがれたのは涼だったと言おうとしたのよ。




私は絢を抱き直し、周りの目を気にする事もなく叫んだ。



「涼――

がんばれぇ――」



涼は振り向きもせず、右手をあげてゲートをくぐり 姿を消した。


私の大きな声に驚いて、絢が泣き出した。



こんな運命があっても、神様は罰を与えたりはしないだろうと、ふと岩沢の顔を思い出した。







「もしもし、一行。

ただいま。」
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