『無明の果て』
いずれ分かることだけれど、やはり先に話しておかなければならない事だと思ったのだ。


「今日ね、会社に辞表出して来たのよ。」



「えぇ~」



始めこそ驚いていたけど、私が思うほどのことはなく、



「鈴木くんの所へ行くんですか?」



「もしかして結婚とか?」


誰だってそう思うはずだ。



「ううん、どっちでもないの。
会社を興すことにしたのよ。」



それは予想の範疇にはなかったらしく、



「何て言っていいのかわからない。」


と、しばらく言葉を探していた。



「麗子先輩らしいですよ。
驚いたけど、自分の人生ですもんね。」


と、私の涙を見て
みんな泣いている。



ひとりで生きて行きたいんじゃない。


一行の生きる場所に羽根を休めて、私の力を試したいのだ。



きっとそれが「幸せ」なのだ。



涼 見てて。

”元気で“
って言った さよならを、私は無駄にはしないから。


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