オレ様専務を24時間 護衛する


――――――――いや、それは無い。

無いに決まっている!


あれほど、私への不信感を抱いていた人が

絶好のチャンスを見逃すはずがない!

彼はそう言う人だから……。


けれど、どうして、あの場所に?



蹲りながら頭を抱えていると、


 ♪ ♬ ♩ ♫ ♪ ♩ 

ガチャッ

―――――――ドンッ!!


「痛ッ」


突然、目の前のドアが勢いよく開いた。


蹲っている私にメガヒットし、扉の隙間から


「そんな所で何してる」

「へっ?……あっ」


いつもながらにテールボイスが響いて来た。


「もしかして、番号を忘れたのか?」

「えっ?あっ、いや……あのっ……」


返答に困り、あたふたとしていると

扉の隙間から彼の溜息が聞こえて来た。


「いつまでそうしている気だ?帰って来たのなら、入ればいいだろ」

「えっ、あっ……はい」

「俺は少し流して来るから」

「あっ………はい」


隙間から聞こえて来た声。

拍子抜けしてしまう程、いつもと同じ声音に

思わず身体の力が抜けて行く。



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