オレ様専務を24時間 護衛する


「汚れても知りま「構わん、サッサと乗れ」

「ッ!!」


躊躇していた松波だが大きなため息を1つ吐き、

ドレスの裾をたくし上げて……。


そんな奴から視線を外した。


一応、奴も『女』だという事を再認識したからで……。



俺はエンジンを掛け、車を発進させた。


初秋の夕暮れは吸い込まれるような空模様。

流れゆく雲と共に颯爽と車を走らせたいという衝動に駆られる。


けれど、今日は地獄の晩餐が待っている。

毎度の事、向かう足取りは重いが

今日ばかりは幾分か軽やかに感じる。


―――――――隣りに座る『女』のお陰で。



走行中はルーフが開いているせいもあり、

風音とエンジン音で会話どころではなく、

けれど、それも計算のうち。


この密室とも言える空間で、

真面に奴と会話出来そうにないから。



市街を抜ける国道の交差点での信号待ち。


「あの……」

「ん?」


風音が無くなった分、幾分か静かになった車内に

遠慮がちな声が響いて来た。



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