オレ様専務を24時間 護衛する
突然、彼女に腕を掴まれた。
「どうして、………ここに?」
「ん?」
彼女の質問に呆けてみたが、きっと察しているだろう。
彼女は今まで一度も味覚狩りをした事が無いらしく、
口癖のように『一度は行ってみたい』と言ってたらしい。
自宅を空け気味の父親。
帰宅したかと思えば、稽古漬け。
家族旅行も殆どした事が無く、
学校行事も試合で行けなかった事も沢山あるのだとか。
そんな彼女の夢…………俺はそれを叶えたいと思った。
「俺が来てみたかったからじゃダメなのか?」
「へ?」
「俺は腹が減った。サッサと採るぞ!」
「あっ、はい////」
彼女の言葉を押し切る形で、
俺は彼女の頭を軽く一撫でし、歩を進めた。
お互いに気に入ったきのこを籠いっぱいに入れ、
「希和、それ採り過ぎだろ。食えんのか?」
「へ?あはっ////そうですね……」
ポロポロと簡単に採れてしまうきのこ類。
『食べる』事をすっかり忘れて、
採る事に夢中になった結果だった。
山盛りのきのこを手にして、俺らは調理場へ。