オレ様専務を24時間 護衛する


「ほら~のぶちゃ~ん!そのくらいにして、奥さんを旦那さんに返しておやりよ~」

「ブォッ……ゲホゲホッ……」

「あら、大丈夫かい?お茶が気管にでも入ったかねぇ」

「だっ、大丈夫です……ッ……」


ちょっとガサツっぽく背中を叩く年配の女性。

俺が咽ているのに気付いた彼女が駆け寄って来た。


「京夜様、大丈夫ですか?!苦しくはありませんか?少しお背中を擦りますね?」

「だ、大丈夫だから……」


すかさず俺の背中を優しく擦る彼女を見て、


「あらあら、今どき珍しいねぇ、若いのに……」

「へ?」

「言葉遣いからして、妻の鏡だねぇ」

「お兄ちゃん、こんな出来た女房、中々居ないよ?」


完全に勘違いされている。

俺が『彼女じゃない』と言ったから、

『彼女じゃない=妻』だと認識されたようだ。


けれど、彼女が出来ている人間だという事は熟知している。

だから、俺は…………。


「そうですよねぇ、俺には勿体ない女性(ひと)です」

「なっ///////」


俺の言葉に照れる彼女。

そんな俺らをご婦人2人は微笑ましく見つめている。


彼女はそんな視線に耐え切れず、



< 580 / 673 >

この作品をシェア

pagetop