オレ様専務を24時間 護衛する
「私には話し掛ける事すら出来ない……王子様でしたから」
「………へ?………俺が、王子様?」
「はい」
少しはにかみながら彼女は小さく頷いた。
そんな風に思われていただなんて………。
「何だか、俺らやっぱり似てんな」
「え?………何がですか?」
「俺も………話し掛ける事自体、許されないような気がしたよ、希和に」
「えぇ~っ?!ななな、なっ、何でですか?!」
「フフッ、何でだろうな」
俺は話を誤魔化した。
今ここで本心を打ち明けたら、
きっと、彼女の全てを知りたいと思ってしまいそうで。
俺にとって彼女が最高であるように
彼女にとって俺が唯一の存在でない限り、この想いは成就しない。
『好き』という薄っぺらな感情でなくて
もっと深みのある、尊い存在だから……。
腕時計に視線を向けると、16時を回っていた。
「そろそろ、帰るか」
「あ、はい、そうですね。閉園時間が17時って言ってましたし」
俺らは山盛りの籠を両手に抱えて、受付小屋へと戻る事にした。