オレ様専務を24時間 護衛する


翌朝、いつもの時間に目が覚めてしまった。

本来ならば喜ぶべきところだが、

今の俺のとって残酷すぎる現実だった。


彼女が俺を真面な人間にしてくれた証。


あんなにも朝に弱かった俺が、

彼女が居なくなった今日も同じように時を刻む。



目覚めはいつもと同じ筈なのに

何故か、気分は最悪だった。



当然、リビングやダイニングにも彼女の姿は無く

当然、美味しい食事がある筈も無い。


食欲があるのかと尋ねられたら『無い』と言えるが、

せめて何か一口でも口に入れて置くべきか?


これでも会社の上に立つ人間。

健康管理も出来ず、社員の教育など出来る筈も無い。



俺は重い足取りでキッチンへと向かい、冷蔵庫を開けた。


すると、そこには、

彼女が昨日の朝用意したと思われる作り置きの料理があった。


無意識に手が伸び、容器の蓋を開けた。

中には俺の好物の物ばかり。


フッ、こんな形で彼女の存在を嫌と言うほど実感するのか。


キッチンを見回せば、

彼女愛用のエプロンが掛けてあり、

食器戸棚の中には彼女のカップが収まっている。



彼女を手放したからと言って、

直ぐには消えそうにない………過ごした時間。


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