オレ様専務を24時間 護衛する


「天宮さんから連絡が来たわ」

「…………何て?」

「明後日、時間を作って欲しいそうよ」

「………じゃあ、11時に風月で」



明後日の土曜日。

結婚相手の彼女が決断を下す。


彼女がどっちを選ぶかは解らないが、

彼女がダメでも、次がある。



何度断られようが、俺が突き進むべき道はただ1つ。




「京夜」

「ん?」

「後悔してないの?」

「………後悔……か……」



後悔なんて山ほどあり過ぎて、

何に後悔したのかさえハッキリしない。



唯一、後悔したなぁ……と微かに思うのは、

彼女と最初で最後のデートをした日。


彼女を家に送り届けたあの時、

最後にもう一度だけ、抱きしめておけば良かったと思った。


あの時は後ろ髪ひかれる想いで出来なかったけど、

戻れるなら、もう一度だけ、ギュッと抱きしめたい。



車の中でそっと触れた彼女の頬の柔らかさ。

その感触さえ忘れかけている。



きっと、時が経てばもっと……もっと……忘れてしまうんだ。

どんなに忘れたくなくても………。


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