オレ様専務を24時間 護衛する


それから数日、天宮凪彩からは何の連絡もなく

俺は年末商戦に向けての仕事に忙殺されていた。




21時過ぎ、重い足取りで自宅に戻ると


「お帰り」

「………来てたんだ」

「忙しそうね」

「…………今日は何の用?」

「京夜の顔を見に来ただけよ」

「………へぇ」



ダイニングに旨そうな夕食が用意されていた。

俺の帰りを待っていたのは、母親。



彼女が居なくなったからと、

直ぐには別の使用人を雇う気にもなれず、

俺は誰の世話にもならず、1人で生活していた。


と言っても、寝に帰る程度だが。



彼女が去った事もあり、

玄関のパスワードを元に戻した。


俺は想い出の日『6月2日』を設定したつもりでいたが、

まさか、その日が彼女の誕生日とは知らず……。


だからこそ、パスワードも元に戻して

少しずつ、日常を塗り替えようと必死だった。




久しぶりの真面な料理を口にし、

彼女の有難みと母親の愛情を再認識した。



食後の珈琲を飲んでいると、


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