オレ様専務を24時間 護衛する


自分の胸に手を当て、ゆっくりと深呼吸する。


ダメだ。

トクントクンと物凄い速さの鼓動が。



自分の本当の気持ち。

私は彼が………好きなの?



『好き』がどこから始まるのかが解らなくて、

この感情がそれなのかさえハッキリしない。



ただ、言える事は、

私以外の人間に彼の護衛兼お世話係をやらせたくないという事。


そして、あわよくば、

私を『女性』として、見て欲しくて………。



昔と変わらない澄んだ瞳で私を見て欲しい。

キラキラと輝いて見える横顔を間近で見たい。

そして、優しくしなやかな指先でそっと髪を撫でて貰いたい。



そんな風に思うという事は………

『好き』になってしまったという事なんだよね?



カーディガンの胸部分をギュッと掴み、

自分の心に素直に問いかける。



それはあまりにも切なくて……苦しくて、

どうしようもない程、締め付けられる息苦しさが襲って来た。


今頃気付くなんて、遅すぎるよ。

もう、どうする事も出来ないのに……。


< 639 / 673 >

この作品をシェア

pagetop